永すぎた春 (新潮文庫)

永すぎた春 (新潮文庫)


結婚を決めた郁雄と百子が、長い婚約中にあーでもない、こーでもないとなる話。
いつもの三島由紀夫らしくない文章がポイントかな。
重厚、かつ繊細でクラクラするような文章ではなく、やったらコミカルな話になってます。
特に、一歩冷めた目線で二人を見ているストーリーテラーの「作者」が面白い。
タイトルだけ見ると悲哀がこもっているように感じるんだけどねえ。


でも、三島由紀夫らしくないので似たようなカップルの話なら、潮騒の方が好きかな。
潮騒の爽やかさは三島らしくないけど、そっちの方が文章としては三島!って感じがする。
潮騒が田舎のスッキリした恋愛なら、こっちは都会の捻くれた恋愛ってとこかなー。
誘惑たっぷりだったり、世間と上手く付き合っていかなきゃいけなかったり。
最後の2人の会話が好きです。


ほのぼのしたい人にはこっちの方がお勧めかしらん。
ふらりと読むにはいいと思う。読み応えはあんま無い。