さみしさの周波数 (角川スニーカー文庫)

さみしさの周波数 (角川スニーカー文庫)


短編集。未来予報、手を握る泥棒の物語、フィルムの中の少女、失はれる物語の4作収録。
手を握る泥棒の物語と失はれる物語は単行本の失はれる物語に入っていてもう既読だったので、
未来予報とフィルムの中の少女を読んだ。


どちらも、悲しいけど前向きな話。
前者はあとがき通りせつない話で、もどかしい。
フリーターの立場が閉鎖的で辛いってところはそういう事してた時私も同じ気持ちを感じたので、
主人公のそこの部分は凄く共感した。
正社員みたいに立ち回れる立場じゃない、(「バイトは…」なんて小言は受けたことないけど)
ふらふらとした安定感の無い立ち位置、
裏を返せば責任が無いから気は楽かもしれないけれど、フリーターの立場って何かふらふらして嫌だ。
その主人公の焦りと気持ちがとてもリアルだと思った。
後者は女性の台詞のみで語られるちょっとオカルトなミステリで、
ラストの2転も3転もする終わり方はいかにも乙一作品だった。
台詞がちょっとわざとらしくて不自然で、特にその2転3転するところは分かりにくいと思う。
とはいえ、どちらも普通かなぁ。こんなもんか。
乙一の短編はあっちこっちに収録されているので、まとめてほしい。