鋼鉄都市 (ハヤカワ文庫 SF 336)

鋼鉄都市 (ハヤカワ文庫 SF 336)


遠い遠い未来のお話。SF、だけどミステリ。


R・ダニール・オリヴォーが好きだ。
未来の描写がいかにも「未来」って感じで面白い。
背景が凝っていて想像するだけで楽しい。
増え続ける人口、エネルギーは無くなっていく一方、階級社会、と暗い未来なんだけど、
…その中で羨ましいと思ったのは、5秒でお化粧直しができる化粧品かな…。
デザイナーベビーまであって、SFの未来のお約束は全部つめこまれているような。
宇宙人は元は地球人ってのもありえそうだと思えた。
読んでいて今生きてる私の考えはライジよりも宇宙人の方に属するかも、とか思ったから。
しかしロボット三原則は、そんなに頑丈なものなのね...。
ロボットってそんなに畏怖されるべき存在なんだろうか。作中で出てくるロボットへの差別が凄い。
日本のロボットが出てくる作品で、強烈にロボットの差別を書いたものってあんまり無いんじゃない?
その中でライジとダニールが1歩1歩歩み寄っていく姿は、感動的。


ミステリ自体は結構どうでもいいなぁ。私はやっぱり、ライジとダニールの関係性や、
地球の問題をどう解決していくのか考えるところが好きかも。
ミステリ、つまり犯人がどーとかそういう方面にはあまり惹かれなくて、
また、最後の犯人の正体もそんなに驚くほどでもなかったし、
ライジとダニールがどこへ行き着くのだけが気になっていたから。