世界の中心で、愛をさけぶ

世界の中心で、愛をさけぶ


ストーリーとかそれ以前に、句読点や体言止めが多すぎて読みにくい。


台詞の感じといい、おそらく「ノルウェイの森」みたいな雰囲気を目指したのでは?
文学的な台詞を多様に使ってそれっぽくしたかったんだろうけれど、
残念ながらこの作者には村上春樹程の多彩な比喩能力が無いため、
結果、矛盾な点が多かったり、ぎこちない点ばかりになってるんじゃないのかな。
それを高校生の恋愛に使ってしまったのだから、
主人公は高校生らしさが無くて、なんだかよくわからない人の印象だけを受ける。
かといえば唐突に若々しい行動をするし、なんだかな…。このテンションについていけません。
また、例えば村上春樹だったりそういう作家には換喩表現が少なからずあるんだけど、
この物語にはそういう面があるのかどうか、ちょっと疑問…。


朔太郎のおじいさんの話は、ちょっと酷いのでは…と思ったし、
やっぱ病人を病院から無理矢理連れ出してしまうのは…。
気持ちは理解できるけど、倫理観に触れるのであまり良くない。
しかもその事で明らかに病状が悪くなって亡くなってるというのも。
それなのに彼が自分のした事について一切悩んでないのも変。
読んでいて何が辛いって、一向に主人公に感情移入できない事。


確かにこの表紙は書店でも目を惹いたけど。
ラストも唐突だったし、ラストを膨らませた映画版を観る方がいいんじゃないかな。


結論:村上春樹はすごい。