球形の季節 (新潮文庫)

球形の季節 (新潮文庫)


ホラーでもミステリーでもなく、一種のファンタジー
これが恐らく恩田陸の味であるとは思うんだけど…。


この作品、全体的に散漫な印象を受ける。
書きたい事が多すぎて、上手くまとまらなかった…みたいな。
登場人物も多すぎな気もするし、説明不足な箇所も所々…。
最初の元気の良さが、最後になるうちになんとなく萎んでしまった風にも見える。


読んでる最中は楽しかったんだけど、いざ読み終わると首をひねってしまう。
「向こうの世界」にもちっとも魅力を感じないし、
そこから発生する思春期にありがちな田舎コンプレックスも分からないし…。
1番分かったのは弘範の気持ちかな?特別でありたいという気持ち。


それにしてもあんな中途半端に終わるとは思わなかった。
別にどんな作品でも白黒つけろ、なんて言わないし、様々な謎を残して終わるのも良いと思う。
ただ、恩田陸の作品はああいう風に終わると、
いつもむずがゆいような、後味が悪いなんとも言えない気分にさせられる。
ましてや、六番目の小夜子以上に中途半端に終わったのでなんというか…。
(まさかあそこで終わるとは思わなくて本当にびっくりした)