スプートニクの恋人 (講談社文庫)

スプートニクの恋人 (講談社文庫)


お恥ずかしながら(?)初★村上春樹
前半はどの文章を読んでも作者の影がちらついていて、最近の流行のタイプの作家なんだな、って思ってた。
嶽本野ばらとか…漫画だとBECKとかNANAみたいな…。
でも後半、ストーリーが急激な部分に差し掛かるとそういうところが割と無くなって、
おかげでちっとも飽きずに読めたし、読んでる事が苦痛にならず、
気が付いたらページが進んでいたので最初に感じたよりはずっと気楽に読めました。
ちょっとは村上春樹への勝手なイメージが変わった…。


良かったところは、まず全体的にストーリーが面白かったところと後半。
自分が住んでた近辺が話に出てきた。これは嬉しいねー。
あと、「恋煩い」とか「スランプ」とか一言で終わりそうな事柄を
回りくどくそして分かりにくく(笑)表現してるところ。


いまいちだと思ったところは何らかからの引用が多すぎるところ。
こういうのってそれに対する感情や情景を書く事を放棄しているようで
個人的にあんまり好きじゃない…。
モルダウがクラシックとかけてるとか、分かるには分かるけれど…。
村上春樹はそんな事しなくたって良いんじゃない??って思った。
まさか「この程度の知識も無しに僕の小説を読もうってのかい?」
って読者に対する挑戦じゃあるまいな…。
漫画でやられると楽しいのに、
小説でやられるとダイレクトに文字が来るからか或いは絵が無いからか
あんまり好きじゃないなぁ。


しかしこの作品は初期ファンからするとイマイチだというところもちょっぴり聞いたので、
村上春樹は今後も積極的に読む方向にしようかな、と思った。