ホリー・ガーデン (新潮文庫)

ホリー・ガーデン (新潮文庫)


私にとって訝しげな作家・江國香織
とても楽しい本だったのに何かが納得いかない…とずっと考えてたんですよ。
それが、映画のスターウォーズを観たらどうしてか解った。


故・黒澤明監督が、スターウォーズを観て、
「この作品は"汚れ"がいいね。」
と言ったらしいのです。
汚れが良い、とは背景が生活観に溢れているという事。


江國香織の本には、背景の描写にその汚れが無いような気がするんですよね。
汚れがあんまり無いから江國香織の小説は良いんだけど、ただあまりにも無さ過ぎて綺麗すぎるのが私的に腑に落ちないんだよなぁ。夢一杯の少女漫画みたいで。orz
作者の育ちの良さ(多分良いんだろう)が文章にも表れている気がする。


それが際立ったのがこのホリー・ガーデンでした。
でも、こういう話は嫌いじゃないので、この本はとても良かったと思いますよ。
神様のボートなんかは主人公の立場と汚れの無さが噛みあっていなくて、そこが何だか異様に不自然。