潮騒 (新潮文庫)

潮騒 (新潮文庫)


三島由紀夫らしくない本。本当に似合わない。
よく知らんけど、ギリシャ文学だかプロレタリア文学だかみたいなのを書いてみたかったらしい。


話自体はなんか、平たく言っちゃうとありがちな普通の恋愛話なんだけど、
ここまで美しいと感じられるのは、やはり三島由紀夫の文才が成せる技なんだな〜…と思う。
と同時に、今の時代恋愛小説は腐るほど沢山あるけど、こんな小説は無いのでは…?
と気づいて悲しくなる。最近の小説は設定はあんなに凝っているのに、
心の底から美しいとは感じさせてくれない。
シンプルな設定をここまで見させる事が出来る三島由紀夫には本当に感服する、な。


作者の事は忘れて潮騒の世界に浸ってみよう。
作者を思い出すと何か余計な事思っちゃうから。


最後まで爽やかでハッピーエンドで後ぐされが無い。
読んでいて気分が良くなる、すがすがしい本です。